古着屋さんで購入されたというコットンコートのご依頼です。
「購入後に室内や明るい場所でよく見たら、全体にポツポツと小さな茶色い点々状のシミがあることに気づいた。なんとか目立たなくして着られるようにしたい」とのご相談でした。
原因:生地内部に使われている「糊(接着剤)の昇華」
このようにコットン製品のあちこちに小さな点状で出てくる黄茶色のシミは、食べこぼしや外部からの汚れではなく、「生地内部の接着芯(糊)の昇華」が原因であることが多くあります。サビ水が飛んだようにも見受けられますが、コート全体に小さな点があるため、糊の昇華と判断できます。
コートの衿や見返し、縫いしろ部分などには、型崩れを防ぐために内側に「接着芯」が貼り合わされています。
年数が経つと、その内部の接着糊が経年劣化・化学変化を起こし、表地の綿(コットン)繊維へ染み出して黄色く変色(昇華)してしまう現象です。
古着などの年代物や、長期間保管されていたお洋服によく見られる特有の症状です。
事前のご説明と処理方針
この「糊の昇華」によるシミは、生地の内部から化学変化を起こして染み出しているため、完全に取り除く(ゼロにする)ことは物理的に非常に困難です。強力すぎる薬品を使うと、コットンの生地自体を傷めたり色落ちさせてしまうリスクもあります。
そのためお客様には事前に、
「糊の変色特性上、100%完全に消し去ることは難しく限界があること」
「生地を傷めない範囲で極限まで薄くし、着用時に気にならないレベルを目指すこと」
をしっかりとお伝えし、ご納得いただいた上で作業を行いました。
生地へのダメージを最小限に抑えつつ、特殊な薬品処理を重ねていきました。
完全除去とまではいきませんが、「言われてよく探さないと分からない」というレベルまでしっかりと薄く復元することができました。
遠目からはもちろん、近くで見てもほとんど目立たない状態になり、これなら街着として気持ちよく着用していただけます。
店主より
古着や年代物のコートには、経年変化による「内部糊の昇華シミ」が思わぬ場所に出てくることがあります。
完全除去が難しい現象ではありますが、プロの手で適切な処理を施せば、諦めかけていたお洋服も「探さないと分からないくらい」まで目立たなく復元できるケースが多々あります。
古着で購入されたお気に入りのお洋服のシミでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。