2026年11月1日日曜日

【古着のしみ抜き】コットンコートに広がる謎の茶色い点々(接着糊の昇華現象)

 古着屋さんで購入されたというコットンコートのご依頼です。

「購入後に室内や明るい場所でよく見たら、全体にポツポツと小さな茶色い点々状のシミがあることに気づいた。なんとか目立たなくして着られるようにしたい」とのご相談でした。











原因:生地内部に使われている「糊(接着剤)の昇華」











このようにコットン製品のあちこちに小さな点状で出てくる黄茶色のシミは、食べこぼしや外部からの汚れではなく、「生地内部の接着芯(糊)の昇華」が原因であることが多くあります。サビ水が飛んだようにも見受けられますが、コート全体に小さな点があるため、糊の昇華と判断できます。

コートの衿や見返し、縫いしろ部分などには、型崩れを防ぐために内側に「接着芯」が貼り合わされています。

年数が経つと、その内部の接着糊が経年劣化・化学変化を起こし、表地の綿(コットン)繊維へ染み出して黄色く変色(昇華)してしまう現象です。

古着などの年代物や、長期間保管されていたお洋服によく見られる特有の症状です。

事前のご説明と処理方針

この「糊の昇華」によるシミは、生地の内部から化学変化を起こして染み出しているため、完全に取り除く(ゼロにする)ことは物理的に非常に困難です。強力すぎる薬品を使うと、コットンの生地自体を傷めたり色落ちさせてしまうリスクもあります。

そのためお客様には事前に、

  • 「糊の変色特性上、100%完全に消し去ることは難しく限界があること」

  • 「生地を傷めない範囲で極限まで薄くし、着用時に気にならないレベルを目指すこと」

をしっかりとお伝えし、ご納得いただいた上で作業を行いました。


生地へのダメージを最小限に抑えつつ、特殊な薬品処理を重ねていきました。

完全除去とまではいきませんが、「言われてよく探さないと分からない」というレベルまでしっかりと薄く復元することができました。

遠目からはもちろん、近くで見てもほとんど目立たない状態になり、これなら街着として気持ちよく着用していただけます。

店主より

古着や年代物のコートには、経年変化による「内部糊の昇華シミ」が思わぬ場所に出てくることがあります。

完全除去が難しい現象ではありますが、プロの手で適切な処理を施せば、諦めかけていたお洋服も「探さないと分からないくらい」まで目立たなく復元できるケースが多々あります。

古着で購入されたお気に入りのお洋服のシミでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

2026年10月31日土曜日

【水洗い事例】ロロピアーナ「ソフタイム」サマージャケットのウェットクリーニング

 イタリアの最高峰生地メーカーLoro Piana(ロロピアーナ)の「SOFTIME(ソフタイム)」を使用した、エレガントなホワイトサマージャケットのウエットクリーニングです。

夏場に着用して染み込んでしまった汗や皮脂汚れをさっぱり洗い流し、本来の上質な風合いを取り戻すメンテナンス(水洗い)を行っていきます。

生地について:Loro Piana「SOFTIME」



  • 特徴:その名の通り、優しくソフトな手触りと軽やかな着心地が魅力の高級上質素材です。

  • お手入れのポイント:立体的な織りと繊細な風合いが魅力ですが、白のジャケットは汗による黄ばみやクスミが目立ちやすいため、定期的な水洗いメンテナンスが欠かせません。

なぜ水洗いするのか?

汗や皮脂などの水溶性汚れは、通常のドライクリーニングだけでは落としきれません。そのまま放置すると生地のゴワつきや嫌なニオイ、黄ばみの原因になります。

デリケートな高級生地ですが、汚れを根本からリセットし、本来の通気性と明るさを取り戻すためにウェットクリーニングで処理します。

水洗い・乾燥後の状態(プレス前)


水洗いで蓄積した汗分をすっかり洗い流し、乾燥させた直後の状態です。 しっかりと汚れが抜けた反面、水洗い特有のシワや形崩れが見られます。ここから職人の手による丁寧なハンドプレスで、元の美しく立体的な仕上がりへ復元していきます。

仕上がり(After)


お手入れのご相談もお気軽にどうぞ

ロロピアーナをはじめとする高級インポート生地や白のサマージャケットも、適切な水洗いとプレス技術を行えば、汗や汚れをリセットして爽やかに着用いただけます。

「汗のにおいや黄ばみが気になる」「さっぱりリセットしたい」という大切な一着がありましたら、ぜひご相談ください。


2026年10月29日木曜日

【水洗い事例】ノースフェイス パープルレーベル ダウンジャケット

 今回はザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE PURPLE LABEL)のダウンジャケットをお預かりしました。

なんと「5年間一度も洗っていない」とのこと。

長年蓄積した襟元や袖口の皮脂・汗汚れ、全体のくすみを水洗いでさっぱりリセットしていきます。

長年の着用による汚れや皮脂が染み込み、ダウン本来のふんわり感も損なわれている状態です。

水洗いでスッキリ復元

繊維の奥に溜まった5年分の汚れをしっかり浮かせ、手作業でやさしく丁寧に水洗い。

羽毛(ダウン)を傷めないよう適切な乾燥と復元作業を行い、きれいに洗い上げます。

仕上がり(After)


洗いあがりの後もうひと手間です。
(ベルクロテープ) マジックテープのごみを取り除いて仕上がりです。

お手入れのご相談もお気軽にどうぞ

長年洗っていないダウンジャケットやアウターも、適切な水洗いで本来の綺麗さと軽さを取り戻せます。お気軽にご相談ください!


2026年10月28日水曜日

【他店でお断り】洗わずにしまっていた白カーディガンの酸化汗染み復元

 遠方のお客様より、宅配クリーニングでのご相談をいただきました。

「洗わずにしばらく保管していたお洋服を着ようとしたところ、前後に黄色い汗染みが浮き出ていた。近所のクリーニング店に相談したが『漂白処理ができない素材のため落とせない』と断られてしまった」とのことでした。


着ている間には見えなかった汗の成分が、保管中に空気中の酸素と結びついて酸化し、前後に大きく濃い黄ばみとなって浮き出てしまっています。



「漂白できない」と言われたお品物ですが、生地の素材特性と染色を見極め、適切な薬剤と温度管理のもとで慎重に復元加工(黄変抜き)を施しました。

生地の風合いや色合いを傷めることなく、前後の頑固な酸化汗染みもキレイに除去でき、本来の清潔感ある真っ白な状態へと復元いたしました。

店主より

「他店で断られた」「漂白不可と言われた」というお品物であっても、素材に合わせた専門的な処理を行えばキレイに修復できるケースが多くあります。

遠方のお客様からの宅配でのご相談・ご依頼も承っておりますので、お気に入りの一着をあきらめて捨てる前に、ぜひ一度ご相談ください。


2026年10月23日金曜日

【ご注意ください】ノースフェイス×Supreme プリントの経年劣化・剥がれについて

 大人気のTHE NORTH FACE × Supremeのコラボアイテム。


※今回は人気のコラボダウンを例にご紹介しますが、これはSupremeやノースフェイスに限らず、ラバープリントや転写プリントが施されたすべての衣類に共通する経年劣化の特性です。

フードやボディのプリント剥がれ

このように、真っ白なロゴであった「SUPREME」ロゴプリントは、時間の経過とともにプリント樹脂自体が脆くなっていきます。

劣化が進んだプリントは、ドライクリーニング・水洗いのどちらであっても、洗浄時のわずかな摩擦でポロポロと剥がれてしまうリスクが高くなります。

「洗う・洗わない」にかかわらず避けられない経年変化

「じゃあ洗わずに着れば大丈夫?」と思われるかもしれませんが、実は着用時の汗や皮脂が付着したままになると樹脂の劣化(加水分解)が進んでしまいます。

とはいえ、大切に保管していたとしても、空気中の湿度や年月の経過によって最終的には自然と剥がれてきてしまうのがこのプリントの特性でもあります。

30年前の超激レア品でも同じ(1993年トヨタカップ非売品コートの例)

プリントの劣化は、特定のブランドに限った話ではありません。

こちらは1993年、ACミラン vs サンパウロFCのトヨタカップ会場で抽選で当たった人しか手に入れられなかったという、超激レアな非売品ベンチコートです。

背中の大きな「TOYOTA CUP」のプリントを見ると、全体的にひび割れて下地が見えるほど剥がれが進んでいるのが分かります。

どんなに貴重で大切に保管されているお品物であっても、約30年という年月が経つとプリント樹脂の寿命により、このように自然と脆くなってしまいます。

ここまで劣化が進んでいると、どのような洗い方をしても洗浄時の摩擦を100%防ぐことはできず、プリントが剥がれ落ちてしまうリスクが非常に高くなります。

ご依頼いただく際のお願い

当店では状態を見極め、できる限りダメージを抑えるよう慎重に作業を行いますが、すでに劣化が進んでいるプリントの剥がれを物理的に止めることはできません。

そのため、「少しでも剥がれるなら洗いたくない」「購入時の完璧な状態を保ちたい」というご要望に関しましては、お品物の安全を第一に考慮し、誠に恐縮ですがクリーニングをお断り(ご辞退)させていただく場合がございます。

プリントの剥がれはアイテム特有の経年変化としてご理解いただき、お品物のメンテナンスでお悩みの際はお気軽にご相談ください。





2026年10月17日土曜日

【水洗い事例】ロロピアーナ「カシミヤクラウド」サマージャケットのウェットクリーニング

 今回は、イタリアの最高峰生地メーカーLoro Piana(ロロピアーナ)の「CASHMERE CLOUD(カシミヤクラウド)」で仕立てられた、ストライプ柄のサマージャケットです。

夏場に着用して蓄積した汗や皮脂の汚れを綺麗に洗い流し、本来の軽やかな風合いを取り戻すメンテナンス(水洗い)を行います。

生地について:Loro Piana「CASHMERE CLOUD」



  • 混率:カシミヤ93% / シルク7%

  • 特徴:雲のような軽やかさと柔らかさを誇る極上素材。カシミヤの質感にシルクのしなやかな光沢が加わった繊細な生地です。

なぜ水洗いするのか?

汗を含んだ衣類は、本来の生地の持つ光沢や色合いが失われます。放置すると生地のゴワつきや固さ、ニオイにも原因になります。

繊細な生地ですが、水溶性の汚れをきっちり取り除き、本来のしなやかさと通気性を取り戻すためにウェットクリーニングで処理します。

水洗い・乾燥後の状態(プレス前)

水洗いでしっかり汗を洗い流し、乾燥させた直後の状態です。 しっかりと汗分が抜けた反面、水洗い特有のシワやヨレが出ています。ここから職人の手によるプレス作業で、元の綺麗な立体感へ復元していきます。

仕上がり(After)


お手入れのご相談もお気軽にどうぞ

ロロピアーナをはじめとする高級インポート生地や、カシミヤ・シルクといったデリケートな素材でも、適切な水洗いとプレス技術を行えば光沢も戻り、サッパリと美しく仕上げることが可能です。

「夏の着用で生地がゴワついてきた」「さっぱりリセットしたい」という大切な一着がありましたら、ぜひご相談ください。

2026年10月16日金曜日

【人工皮革・スエード調】長雨で発生したジャケットのカビをプロの水洗い・ウエットクリーニング 染み抜きですっきり除去!

 今年は雨が多く、クローゼットで保管していた服にカビが発生したというご相談が増えています。

今回ご紹介するのは、スエード調の人工皮革(ロイム)別名 (エクセーヌ)ジャケットです。

Before

袖口や裾を中心に、白いカビが全体へ広範囲に浮き出ている状態でした。

カビの菌糸や汗などの汚れは、ドライクリーニングだけでは落としきれません。品質表示にも「ドライで落ちにくい汚れはウエット(水)クリーニングを」とあるため、当店の水洗い(ウエット処理)で対応しました。


After

水洗いと丁寧なカビ取り・染み抜きにより、白いカビはすっきり除去できました。

スエード調特有のしなやかな風合いと深みのある黒さが戻り、清潔に着用いただける状態へ復元しています。


人工皮革やデリケート素材のカビ・汚れも、最適な水洗いで綺麗に蘇ります。お困りの方はぜひご相談ください。